四兄弟神の星17
四兄弟神の星 17
第三章 カサルの村壊滅、新たなる出発へ
今夜も子供達は薄明かりの残る間に薪を集め、日が落ちると集って来た。
クリルは焚火に照された四兄弟神の祭壇に向って、感謝の祈りを始める。
子供達は大人しくその後で手を合せた。
お祈りが終り、クリルは振返った。
目を輝かせた子供達がお話の続きを待っている。
クリルは話し始めた。
「リュウの頼みで北の海に着いたオモンは、弓の上手なチェレンとララに出合ったのですね。
トロとも再会して、四人はリュウの待つ南の草原に戻る事にしました。
そこは大きな山塊で、深い森や険しい山が立ち塞がっています。
西の街に火の雨が降ってから二十年、生残った人々は原始の森でどのようにしていたでしょう」
暗くなるにつれ強風に雨が混じり、雨足はひどくなって来た。
木は密生し大きな枝は頭上を覆っているのに、その枝をわさわさと鳴らし雨は激しく四人とラガー二頭に叩き付ける。
深い森を南下して四日目だ。
いつもは暗くなる前に夜営地を見つけたが、この日に限って木々の密生した地帯を中々抜けられない。
チェレンが先頭で低い枝をくぐり、大きな木の根を避けて道を探す。
トロとオモンはラガーを引いていた。
人間より大きなラガーを通すのが一苦労。
小柄なララは器用にチェレンに付いて行く。
「・・・」
ララが前方に問いかけた。
チェレンが何か喋ったのだろう。
二人の話なら口を挟まない方がいい、事にこの頃トロは気付いていた。
先頭のチェレンは空を仰いだ。
つられてトロも見上げると、鳥人ターナが木の枝の陰に雨宿りしていた。
身体を覆う大きな翼が黒く光っている。
「ターナ、お利口さんだ。
夜営出来るような広い所を探してくれないか?」
トロが言うとターナは考えている。
チェレンが言った。
「こいつには私達がどんな所に夜営出来るか、わからないんだ。
それより、どこかで獣が集って騒いでいる。
何をしているか、見て来た方が面白いに決っている」
「夜営地ぐらいわかるさ」
ターナは、ふん、馬鹿にするな、と飛立った。
「あいつはこの雨の中を飛びたくなかったのだ」
オモンは言った。
「あいつのように枝の下に雨を避けた方がよさそうだな」
歩みを止めず、トロは言った。
彼は布製の服を着るチェレンやララを気遣った。
トロとオモンは獣皮の服だ。
「・・・」
チェレンがまた何か喋ったらしい。
が、激しい雨の音ですぐ後のララにも聞き取れない。
「誰が危険なの?
ターナ?
貴方が行けと言ったのよ」
ララの声が聞える。
チェレンはそれに答えようとはせず、急いで歩き続けている。
トロは危険という言葉に心配になった。
チェレンは会った時からいつも弓と矢を二三本左手に持っていて、常に危険に備えている。
トロはチェレンが作った多くの矢をラガーの背に積んでやった。
今では一人で運び切れない程ある。
ターナが戻って来た頃、森はやっとまばらになったが、それは一層激しい雨に叩きつけられるだけだった。
トロは林の中に戻ろう、と考えていた。
ターナが言った。
「この向うに岩だけの山があって、木の柵と小屋があってたくさんの人が居た。
たくさんの獣とけんかしていた」
チェレンが言った。
「ずっとトーチの狩の呼び声が聞えていた。
そこの人々はトーチに襲われている。
トーチは大きな集団で行動し、悪賢い獣だ」
トロはすぐに応じた。
「どんな獣か知らんが、オモン、ラガーで駆けつけよう。
チェレンはララとここに残って雨宿りしていてくれ」
「君達だけが何をしに行く?
私が行かないとその人達を助ける事はできないよ」
と、言い、チェレンはトロのラガーに駆け寄った。
「私はトロの後に乗る。オモンはララを乗せてくれ」
そしてさっさとラガーに跨がった。
トロはそれで急き立てられてチェレンの前に乗る。
ラガーは大きな動物だ。少しの間なら大人二人を乗せて充分走った。
第三章 カサルの村壊滅、新たなる出発へ
今夜も子供達は薄明かりの残る間に薪を集め、日が落ちると集って来た。
クリルは焚火に照された四兄弟神の祭壇に向って、感謝の祈りを始める。
子供達は大人しくその後で手を合せた。
お祈りが終り、クリルは振返った。
目を輝かせた子供達がお話の続きを待っている。
クリルは話し始めた。
「リュウの頼みで北の海に着いたオモンは、弓の上手なチェレンとララに出合ったのですね。
トロとも再会して、四人はリュウの待つ南の草原に戻る事にしました。
そこは大きな山塊で、深い森や険しい山が立ち塞がっています。
西の街に火の雨が降ってから二十年、生残った人々は原始の森でどのようにしていたでしょう」
暗くなるにつれ強風に雨が混じり、雨足はひどくなって来た。
木は密生し大きな枝は頭上を覆っているのに、その枝をわさわさと鳴らし雨は激しく四人とラガー二頭に叩き付ける。
深い森を南下して四日目だ。
いつもは暗くなる前に夜営地を見つけたが、この日に限って木々の密生した地帯を中々抜けられない。
チェレンが先頭で低い枝をくぐり、大きな木の根を避けて道を探す。
トロとオモンはラガーを引いていた。
人間より大きなラガーを通すのが一苦労。
小柄なララは器用にチェレンに付いて行く。
「・・・」
ララが前方に問いかけた。
チェレンが何か喋ったのだろう。
二人の話なら口を挟まない方がいい、事にこの頃トロは気付いていた。
先頭のチェレンは空を仰いだ。
つられてトロも見上げると、鳥人ターナが木の枝の陰に雨宿りしていた。
身体を覆う大きな翼が黒く光っている。
「ターナ、お利口さんだ。
夜営出来るような広い所を探してくれないか?」
トロが言うとターナは考えている。
チェレンが言った。
「こいつには私達がどんな所に夜営出来るか、わからないんだ。
それより、どこかで獣が集って騒いでいる。
何をしているか、見て来た方が面白いに決っている」
「夜営地ぐらいわかるさ」
ターナは、ふん、馬鹿にするな、と飛立った。
「あいつはこの雨の中を飛びたくなかったのだ」
オモンは言った。
「あいつのように枝の下に雨を避けた方がよさそうだな」
歩みを止めず、トロは言った。
彼は布製の服を着るチェレンやララを気遣った。
トロとオモンは獣皮の服だ。
「・・・」
チェレンがまた何か喋ったらしい。
が、激しい雨の音ですぐ後のララにも聞き取れない。
「誰が危険なの?
ターナ?
貴方が行けと言ったのよ」
ララの声が聞える。
チェレンはそれに答えようとはせず、急いで歩き続けている。
トロは危険という言葉に心配になった。
チェレンは会った時からいつも弓と矢を二三本左手に持っていて、常に危険に備えている。
トロはチェレンが作った多くの矢をラガーの背に積んでやった。
今では一人で運び切れない程ある。
ターナが戻って来た頃、森はやっとまばらになったが、それは一層激しい雨に叩きつけられるだけだった。
トロは林の中に戻ろう、と考えていた。
ターナが言った。
「この向うに岩だけの山があって、木の柵と小屋があってたくさんの人が居た。
たくさんの獣とけんかしていた」
チェレンが言った。
「ずっとトーチの狩の呼び声が聞えていた。
そこの人々はトーチに襲われている。
トーチは大きな集団で行動し、悪賢い獣だ」
トロはすぐに応じた。
「どんな獣か知らんが、オモン、ラガーで駆けつけよう。
チェレンはララとここに残って雨宿りしていてくれ」
「君達だけが何をしに行く?
私が行かないとその人達を助ける事はできないよ」
と、言い、チェレンはトロのラガーに駆け寄った。
「私はトロの後に乗る。オモンはララを乗せてくれ」
そしてさっさとラガーに跨がった。
トロはそれで急き立てられてチェレンの前に乗る。
ラガーは大きな動物だ。少しの間なら大人二人を乗せて充分走った。
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