炎の惑星 14

 春樹の部屋は暗闇に包まれていた。

 美智子は明りをつけた。
 六角形の部屋。
 壁全面に大小のスクリーン。
 ベッドの他に中央にはスイッチやボタンの並ぶ六角錐の机。

 そのスイッチやボタンを調べた。
 スイッチを入れると、一つのスクリーンにライトがともる。
 次々入れて見る。
 探検船の外側。機関室。展望室。各個人の部屋等が次々別々のスクリーンに映し出された。
「まあ! プライバシーの侵害だわ。これは。
 ビデオに取ってあるのね」
 ボタンを押す。


  大スクリーンの映像(一)
 探検船のアンテナが映っている。
 その傍らを、保夫、美智子、一郎、和子、浩人が通り過ぎる。
 アンテナの基部に緑のタイトスーツの手が置かれている。
 すっと引込むと、春樹が現われた。
 春樹は後方に向って丁寧に挨拶して、通り過ぎた。


 美智子は思い出した。
「出発時の記録ね。
 春樹は一人、遅れたのだわ。
 彼の担当する機械部門で何かトラブルがあったって言っていたわ。
 でも何故? こんな記録が」


  大スクリーンの映像(二)
 探検船のアンテナが映っている。
 周囲は爆発と燃焼。
 アンテナが一方向にがくんがくんと揺れている。


「やはり、爆発で折れたのね。
 でも、おかしい。
 変な揺れ方」

 春樹の部屋でスクリーンを見ながら、なおもスイッチを操作し続けた。

「この大きなスクリーンに映るのは、船内の故障ね。
 小さなトラブルがたくさんあったのね。
 春樹と保夫が全部修理している」
 机に肘をついて、考え込んだ。

「でもなぜ、出発の記録がこのトラブルのスクリーンに映されるの?」

 はっと顔を上げた。
「もしや! 
 あれは、あの時、アンテナに誰かが傷をつけた!

 まさか!
 そんな馬鹿な事を誰が!」

 美智子は立上がった。
「でも、これは異常を検知して、自動記録されたものだわ。
 検知機はあの時異常を検知したのだ。
 それなら、爆発の時のアンテナのおかしな揺れ方も納得できる。
 じゃ、誰?

 誰?

 緑色のタイトスーツで春樹が丁寧に挨拶する人間!

 葉一?

 まさか」
 激しく首を振った。
「あの子は春樹の私に対する気持を知って、恋敵を除くために?
 アンテナに故障が起きれば、春樹が外で作業する。
 この惑星の大気が燃えやすいのは予備調査で判っていた。
 何という事。
 違うわ違うわ、そんな事は有り得ないわ。

 そんな事はうそよ」

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