炎の惑星 4
「なぜ、あそこを捨てて出てきたのだろう。こんな何もない宇宙に」
春樹は呟いた。
それに対して、一郎は優等生らしく答えた。
「僕達が作る花園島をこの宇宙のどこかに見つけるためさ。
父達はその様に僕達を教育した。
まだ足らない事があるかも知れないと、浩人のような叔父さん達も二百人付けてくれた。
僕達の時代に見つからなくても、僕達の子供達が見つけるのさ」
彼の金茶色のタイトスーツは傲慢に見える。が、自信は医者として重要な条件だ。
スーツの赤い傍線はパニック状態でも誰にでも医者を見付けられるように義務付けられている。
「成程。
君のような者達は指導者にとっては便利だ。
全てをいいように解釈して率先して行う。
ところで、もう十時間すれば夜が明ける。
今度はこの大陸の上を飛ぶように進言してみよう」
「それは僕も賛成だ。
地球では生命は海から生れたが、この海では何も産み出さない。
陸の湖なら、水の相が違っているかも知れない」
大陸の上空を探検船はゆっくり進む。
青い(青酸カリ)野原と緑(シアン化ニッケル)の山が続く。
浩人が窓の外を眺め、首を振っていた。
湖を見付け、勇んで観測機に飛びついた。が、すぐまた首を振った。
「だめだ、シアンの池だ。ここには生命はない」
保夫が窓に近づいて来、指差して言った。
「あの岩山にウランがある。エネルギー補給できる」
そして、出て行った。
浩人は首を振って、なおも眺めていると、窓の外に小型採石機が保夫に操縦されて、岩山に向うのが見えた。
探検船は停止していた。
室内を振返ると、美智子は天体観測、一郎は退屈している
日暮近くになって、採石機が戻って来た。
保夫は中央の扉から入って来ると気取って言った。
「岩山の向うの湖は、今までとちょっと違っていた」
「どんな風に」
と、一郎は馬鹿にしたように言った。
「周囲がまん丸で、少し高く……」
浩人はみなまで言わせず、飛び付くように叫んだ。
「本当か?」
保夫は驚いて浩人を見た。
美智子が頷いた。
「隕石ですね」
「そう、隕石だ。
あの昆布や苔は隕石の落ちた場所にあった」
と、浩人。
「行こう」
と、一郎も興奮した。
「今からだと、暗くなります。
保夫はその場所まで行って、上空で待機してください。
浩人叔父と一郎は観測準備です。
私は少し休みます」
美智子はそう言って中央の扉に向った。
美智子が中央の柱の内部の階段を下りて来ると、春樹が傍らの部屋から出て来た。
美智子は眉をひそめて言った。
「春樹、記録を見ると、貴方の睡眠時間はかなり少ないようですが」
「この危険に際して、ゆっくり眠れとおっしゃるのですか」
「危険?
何にしても、充分休養を取って、体力をつけていて欲しいものです」
「休養は充分です。何のための体力ですか?」
春樹の瞳がぎらぎらと狂暴に光ったので、美智子は息を呑んだ。
春樹は目をそらし、身体を引いた。
「失礼しました。
やはり疲れているようです。
部屋に戻ります」
美智子は春樹の前を固い表情で通り過ぎた。
探検船は六角形であり各人の部屋も六角形になっていた。
美智子は部屋に入ってベッドに横になった。
胸に手をやると動悸が激しかった。
「私は、司家の総領娘。
生と死の権利を守る家柄の人間だ。
彼は私達に批判的とは言え、悪意を持った事のない貝塚家の人間。
私が彼を恐れなければならない理由はない」
美智子は幾度も寝返りをうった。
いつか寝入ったらしい。
一次警報が聞えた。
春樹は呟いた。
それに対して、一郎は優等生らしく答えた。
「僕達が作る花園島をこの宇宙のどこかに見つけるためさ。
父達はその様に僕達を教育した。
まだ足らない事があるかも知れないと、浩人のような叔父さん達も二百人付けてくれた。
僕達の時代に見つからなくても、僕達の子供達が見つけるのさ」
彼の金茶色のタイトスーツは傲慢に見える。が、自信は医者として重要な条件だ。
スーツの赤い傍線はパニック状態でも誰にでも医者を見付けられるように義務付けられている。
「成程。
君のような者達は指導者にとっては便利だ。
全てをいいように解釈して率先して行う。
ところで、もう十時間すれば夜が明ける。
今度はこの大陸の上を飛ぶように進言してみよう」
「それは僕も賛成だ。
地球では生命は海から生れたが、この海では何も産み出さない。
陸の湖なら、水の相が違っているかも知れない」
大陸の上空を探検船はゆっくり進む。
青い(青酸カリ)野原と緑(シアン化ニッケル)の山が続く。
浩人が窓の外を眺め、首を振っていた。
湖を見付け、勇んで観測機に飛びついた。が、すぐまた首を振った。
「だめだ、シアンの池だ。ここには生命はない」
保夫が窓に近づいて来、指差して言った。
「あの岩山にウランがある。エネルギー補給できる」
そして、出て行った。
浩人は首を振って、なおも眺めていると、窓の外に小型採石機が保夫に操縦されて、岩山に向うのが見えた。
探検船は停止していた。
室内を振返ると、美智子は天体観測、一郎は退屈している
日暮近くになって、採石機が戻って来た。
保夫は中央の扉から入って来ると気取って言った。
「岩山の向うの湖は、今までとちょっと違っていた」
「どんな風に」
と、一郎は馬鹿にしたように言った。
「周囲がまん丸で、少し高く……」
浩人はみなまで言わせず、飛び付くように叫んだ。
「本当か?」
保夫は驚いて浩人を見た。
美智子が頷いた。
「隕石ですね」
「そう、隕石だ。
あの昆布や苔は隕石の落ちた場所にあった」
と、浩人。
「行こう」
と、一郎も興奮した。
「今からだと、暗くなります。
保夫はその場所まで行って、上空で待機してください。
浩人叔父と一郎は観測準備です。
私は少し休みます」
美智子はそう言って中央の扉に向った。
美智子が中央の柱の内部の階段を下りて来ると、春樹が傍らの部屋から出て来た。
美智子は眉をひそめて言った。
「春樹、記録を見ると、貴方の睡眠時間はかなり少ないようですが」
「この危険に際して、ゆっくり眠れとおっしゃるのですか」
「危険?
何にしても、充分休養を取って、体力をつけていて欲しいものです」
「休養は充分です。何のための体力ですか?」
春樹の瞳がぎらぎらと狂暴に光ったので、美智子は息を呑んだ。
春樹は目をそらし、身体を引いた。
「失礼しました。
やはり疲れているようです。
部屋に戻ります」
美智子は春樹の前を固い表情で通り過ぎた。
探検船は六角形であり各人の部屋も六角形になっていた。
美智子は部屋に入ってベッドに横になった。
胸に手をやると動悸が激しかった。
「私は、司家の総領娘。
生と死の権利を守る家柄の人間だ。
彼は私達に批判的とは言え、悪意を持った事のない貝塚家の人間。
私が彼を恐れなければならない理由はない」
美智子は幾度も寝返りをうった。
いつか寝入ったらしい。
一次警報が聞えた。
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